BANIの時代を健やかにしなやかに生きるために

新年のご挨拶
新年あけましておめでとうございます。2026年が皆さまにとって実り多き一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
昨年も多くの組織やチームの皆さまとの対話を通じて、たくさんの学びと気づきをいただきました。不確実性が増す時代において、それでも前を向いて歩もうとする皆さまの姿に、私自身も大きな勇気をいただいています。
今年も、ファシリテーションと心理学の知見を活かしながら、皆さまの対話と探究のお手伝いができればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
BANIの時代とは何か
私たちが生きる現代は、しばしば「BANI(バニ)の時代」と表現されます。BANIとは、
Brittle(脆い)、
Anxious(不安な)、
Nonlinear(非線形な)、
Incomprehensible(不可解な)
の頭文字を取った言葉です。
以前はVUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)という言葉で時代を表現していましたが、BANIはさらに一歩進んだ概念です。システムが予想外に崩壊する脆さ、先が見えない不安、原因と結果が比例しない非線形性、そして何が起きているのか理解することさえ困難な不可解さ。VUCAで捉えきれない現代の課題(特に心理的な側面や構造的な脆弱性)をより的確に表現していると言えるでしょう。
気候変動、パンデミック、地政学的な緊張、AIの進化、技術革新のスピード。私たちの周りには、予測も制御も難しい出来事が次々と起こります。こうした環境下で、組織もチームも個人も、新しい生き方や働き方を模索しています。
ファシリテーションが果たす役割
BANIの時代において、ファシリテーションの重要性はますます高まっています。なぜなら、不確実で複雑な状況に対処するには、一人のリーダーの判断だけでは不十分だからです。
ファシリテーションは、多様な視点を持つメンバーの知恵を引き出し、集合知を生み出すプロセスです。誰かが答えを持っているのではなく、対話を通じて答えを創り出していく。この姿勢こそが、予測不可能な時代を生き抜く鍵となるのではないでしょうか。
特に重要なのは、心理的安全性の確保です。不安が高まる時代だからこそ、「こんなことを言ったら批判されるのではないか」という恐れを取り除き、率直に意見を交わせる場をつくることが必要です。ファシリテーターは、対話の質を高め、一人ひとりが安心して参加できる環境を整える役割を担います。
心理学から学ぶしなやかさ
心理学の分野では、不確実性に対処する力として「レジリエンス(回復力)」や「心理的柔軟性」という概念が注目されています。
心理的柔軟性とは、固定的な思考や行動パターンにとらわれず、状況に応じて柔軟に対応できる力のことです。計画通りにいかないとき、予想外の出来事が起きたとき、私たちはつい抵抗したり回避したりしてしまいます。しかし、現実を受け入れ、今この瞬間に意識を向け、自分の価値観に沿った行動を選択することで、困難な状況でも前に進むことができます。
また、マインドフルネスの実践も有効です。不安や焦りに飲み込まれそうになったとき、一度立ち止まって自分の内面を観察する。感情を否定せず、ただ気づく。この習慣が、感情的な反応ではなく、意図的な行動を選ぶ余地を生み出します。
組織やチームにおいても、失敗を学びの機会と捉える文化や、変化を前向きに受け止める姿勢が、しなやかさを育みます。完璧を求めすぎず、小さな実験を繰り返しながら学習していくアプローチが、BANIの時代には適しています。
健やかに生きるための探究
健やかさとは、単に問題がない状態ではありません。困難があっても、それと向き合いながら自分らしく生きている状態を指します。
今年、私がお伝えしたいのは、ファシリテーションと心理学の知見を統合した、実践的な知恵です。どうすれば対話の質を高められるのか。どうすれば不安と上手に付き合えるのか。どうすれば変化を恐れず、チャレンジし続けられるのか。
これらの問いに対する答えは、一つではありません。だからこそ、皆さまと共に探究し、対話を重ねながら、それぞれの現場で活かせる形にしていきたいと考えています。
難しい理論を難しいまま伝えるのではなく、日々の実践に結びつく形で、わかりやすくお届けできるよう、努めていきたいと思います。
さいごに
BANIの時代は、確かに厳しい側面を持っています。しかし同時に、新しい可能性が生まれる時代でもあると感じています。古い枠組みが崩れるからこそ、新しい関係性や創造性が芽生える余地があるのではないでしょうか。
今年も皆さまと共に学び、共に歩んでいけることを楽しみにしています。どうぞよろしくお願いいたします。

