インタビューのコツ3 自分のバイアスを意識する

私たちはバイアスだらけだと自覚しよう!

私たちはバイアスという名の色眼鏡をかけている
私たちはバイアスという名の色眼鏡をかけている

バイアスとは平たく言えば、「思い込み」とか「偏見」とか「先入観」とか「決めつけ」のことです。「なくて七癖、あって四十八癖」ということわざがありますが、実は「なくて七バイアス」と言ってもいいくらい、私たち人間は多かれ少なかれ誰しもがバイアスを持っていて、自分ではそれに気がついていないのが実情のようです。ありのままを見たり聞いたりしているつもりでも、私たちの認知は非常に不完全で、理解や解釈には誤りや歪みがつきものです。このバイアスはないに越したことはないのですが、人間である以上ゼロにすることは無理。それならば、とにかく「気づく」「認識する」「自覚する」、そしてそれを企画・実施・分析の各フェーズでプロジェクトメンバー間で共有するということが、インタビューの質やその結果をもとに行う意思決定の質を高めるためには非常に重要だと思っています。
「声の大きい人がみんなの意見引っ張っちゃってバイアスかかっているよね」などとインタビュイー(インタビュー対象者・話し手)側のバイアスには気づくのに、自分たちインタビュアー側(インタビューをする人・聞き手・バックで指示統括する主宰者)に潜在するバイアスは案外盲点になっているものです。

インタビュアーが意識すべきバイアス

1.確証バイアス
『確証バイアス』とは、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向を指します。
商品のコンセプト開発、ブランドの広告表現の開発、Webサービスの改善、あるいは定性的な調査研究など様々な目的でインタビューは行われますが、そこには関係者にとって望ましかったり、都合のいい結論の方向性というものが自ずと存在します。
知らず知らずのうちに自分たちにとって都合が良かったり、好ましい発言には強い関心を示し、プローブ(深掘り質問)するのに、それに反する発言はスルーしたりしていないでしょうか。そしてそれはインタビュイー (インタビュー対象者・話し手) になんらかの影響を与えてはいないでしょうか。この辺を事前に意識するともに、実施後の振り返りも大切にしたいものです。
特に事業者さんで自分たちが価値があると信じ、創り込んできた商品やサービス、あるいはアイデアやプロトタイプに対して評価を取るようなインタビューを行う場合、高い評価や支持を得たいという期待があって当然ですので、確証バイアスは働きやすくなります。社外のインタビューのプロに委託することでバイアスの軽減にはつながりますが、それでもオリエンや現場でのインタビュアーへの指示がバイアスに満ちていれば元も子もありません。

2.ハロー効果
『ハロー効果』とは、ある対象を評価する時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象のことを指します。
インタビュイー (インタビュー対象者・話し手) の外見の印象や肩書、特徴的な属性などで、つい、「この人はきっとこんな感じだろう」という予見を持って話を聞いてしまうということはないでしょうか。
例えば、自社のブランドのユーザーは痩せ型でファッショナブルな人と想定し、そのイメージに合致する人の発言に注目し、相反する外見の人の発言は「この人はうちのユーザーではない」と軽視してしまうなどということもあるかもしれません。でも、実は後者のほうがブランドに対するロイヤリティが高く、ヘビーユーザーならではの視点でリアルで有効な話をしてくれるということもあり得ます。
いったん予見を脇において目の前のインタビュイー (インタビュー対象者・話し手)に真摯に向き合い話を聞き、ゼロベースでその人を感じることが大切です。

3.アンカリング効果
『アンカリング効果』とは、最初に提示された数字や条件が基準となって、その後の判断が無意識に左右されてしまうという心理を指します。インタビューの現場では、この『アンカリング効果』を踏まえて様々な順番に気を配ることが重要です。
まず、大きいところではインタビュー全体の話を聞く順番です。目的やテーマによってインタビューの流れは変わってきますが、とにかく最初に語られたことが後に影響するということは意識しておきたいポイントです。インタビュイー (インタビュー対象者・話し手)は時間の経過に従って、様々な情報を得て、影響を受け変化していきます。テーマとなっているモノやコトに対してそれほど特定の関心を寄せてなかったかもしれない人が、ずっとその話をしていることによって、あたかも自分は前から強い関心を持っていたように錯覚することもあり得ます。例えば、テーマとなるモノやコトについてその人が抱いているその人固有のイメージなどを知りたい場合は最初の方の段階で聴取しておくべきでしょう。
また、グループインタビューなどの複数で行われるインタビュー調査の場合は問いに対しての発言の順番も考慮する必要があります。最初の発言は次に続いていく発言にどうしても影響を与えることになります。この順番の影響を完全に排除することはできませんが、ここだけはどうしてもという場面ではまずは付箋に太めのペンで書いてもらい、それをホワイトボードに貼って見える化したうえで話を聞いていくと、影響をかなり軽減することができます。
さらに、複数のもの刺激物として提示して比較評価を取る場合の提示順序もすべてのインタビュイーに同じ順序で見せるのではなく、ローテーションをかける必要があります。例えば3つのパッケージデザイン案を比較評価してもらうのだとしたら、ある人には「P→Q→R」、その次の人には「Q→R→P」、そのまた次の人には「R→P→Q」というように提示順序を変えていくイメージです。こちらは「オーダーバイアス」と呼ばれ、留意し実行している方が比較的多いのではないかと思います。

バイアスは必要悪?

もともと、バイアスは認知的な資源や精神的なエネルギーの消費を抑えて、ことを早く進める「脳の節約行動・ショートカット行動」の結果として存在するもので、持てる時間にも認知的資源にも限りがある私たちにとっては必要悪的なものなのかもしれません。
でも、必要悪としてあるものだからしょうがないと放置するのではなく、意識してバイアスに留意し、その軽減に努めたいものです。

さて、今回はインタビューのコツ3ということでインタビュアーやインタビュー調査を主催者側が気をつけるべきバイアスについて話をさせていただきました。以下の記事も併せてご参照ください。

Follow me!