オンライン・インタビューを活用するために

「リアル」の代替えではなく新たな選択肢

人と人とが距離を取らなければいけなくなったwithコロナの時代、
コミュニケーションとして「オンライン」の比重が飛躍的に高まりました。
以前は「リアル(対面)」でやっていたことが「オンライン」化されるようになりました。
会議、研修、採用面接、セミナー、授業、フィットネス系のレッスンetc.
定性的な顧客理解を目的としたインタビュー調査もその例外ではありません。
去年の春先に急激にオンラインでの対応を進めなければならなくなった時期には
「リアル(対面)」で当たりまえにできていたことが「オンライン」ではできないというデメリットの方に目が行き、さまざまな戸惑いを感じました。
でも、数多くのオンライン・インタビューの経験を重ねた今は感じ方が変わってきました。
「オンライン・インタビュー」は仕方なく選択する代替え手段ではなく
「リアル・インタビュー」にはない利点や可能性を持つ選択肢として積極的に活用した方がいいと。

オンラインならではの特性を正しく理解する

オンライン・インタビューを有効に活用するためには
その特性(制約と可能性の両方)を正しく理解して、企画設計を行うことだと思います。

■対象者のネット環境・使用可能デバイス・リテラシーの制約
対象者の下記条件を満たす人でないとオンラインでのインタビューは成立しにくいです。
・ビデオ通話に対応できるインターネット環境がある人
・ビデオ通話できるデバイスを準備できる人(できれば、PC、タブレット)
・ビデオ通話アプリ(Zoom等)を使用する最低限のリテラシーを持っている人
インターネット環境があってもポケットWifiなどの場合、接続が不安定になりがちです。
デバイスの問題でスムーズにビデオ通話できない場合もあります。
また、「ミュートを外してください」と言っても「??」というような方の場合はご家族のサポートがあれば別ですが、スムーズな会話にはなりえないので、ある程度のリテラシーをお持ちの方でないとお話をお聞きするのは難しくなります。

■どこにいても参加可能
「リアル(対面)」のインタビューの場合はインタビュー会場を都心に設定したら、首都圏に在住もしくは在勤の方に対象が制約されますが、「オンライン」では北海道であろうが沖縄であろうが海外であろうが参加可能です。場所の制約を受けないというのがオンラインの醍醐味です。
また、自宅でなくてもお子さんの野球の練習試合の送迎の待ち時間に駐車中の車中から参加、カラオケのルームから参加という事例も実際にありました。
この「どこにいても参加可能」というのは対象者のみならずインタビュアー(モデレーター)やオブザーバーも活かすことのできるメリットです。

忙しい人や家を空けにくい人もすきま時間に参加可能
オンライン・インタビューでは会場までの移動時間がないので、インタビューの所要時間さえ確保できれば参加が可能になります。
在宅ワーカーが休憩タイムに、子育て中のママが隣室でお子さんをパパに見てもらって、などなど
2時間は確保できないけど、1時間なら大丈夫というような人に参加の可能性が広がります。

自宅で使用しているものを見せてもらえることも
あらかじめ事前連絡でお願いするのか、インタビューの話の流れで「良かったら見せてくれませんか?」とお願いするのか、テーマによって適切な文脈は変わってくるでしょうが、今使っているスキンケアを見せてもらう、あるいは毎日飲んでいるサプリメントを見せてもらうなど、そんな展開も期待できます。もちろん丁寧にラポールを築いてからというのが前提になりますが。

以上、企画設計段階で考慮したいオンライン・インタビューならではの制約と可能性を整理してみました。

ビデオ通話でのコミュニケーションには難点として

・音声発信と聴き取りにタイムラグがある
・視線が合わない
・相手の反応がわかりずらい

といった特性もあります。
この辺はどのような留意点でインタビューを実施していくのかといったオンライン・インタビューのコツ
また、最近よく質問を受ける
「オンラインではデプスの方がいいと聞くけど、グループは成立しないの?」といった論点でのお話はまた別の機会に投稿したいと思います。

お読みいただいて、どうもありがとうございます!

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